忍者ブログ

つなビィ

ブログ内検索

ブクログ

バーコード

[PR]

×

[PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。

■■彼が彼を嫌いな理由

せんり宅鳥さんが、うちの歪を嫌いな理由。続きより閲覧どうぞ。中途半端に始まって中途半端に終わります;
歪が嫌いな鳥さんは、歪の前では大人しい。鳥さんが嫌いじゃない歪は、鳥さんの前では皮肉屋で毒舌家。
「所で」
「……何?」
応えるまでに間があったのは、青年が一瞬応えを怠ろうかと画策したからか。
それでも応えたのは、目の前の男が次に発する言葉に興味があったからか。

「君はなぜ、俺を避けるんだろうか?」
「……嫌いだから」
青年は至極嫌そうに答えた。
短い応えに、男は一瞬キョトンと目を瞬かせ、次いで破顔する。

「一般化された理論と少々の皮肉を愛する君にしては、簡潔かつ、抽象的で正確に体系だてられていない答えだな」
微笑で返された言葉の毒に、青年は知らず目を眇めた。

「……あんたの方がずっと皮肉で意地が悪いと俺は思うけどね」
俺以外のヤツの目は全部節穴だ、と、青年は吐き捨てる。
だって、こんなヤツのことを、慈悲深いと……本気で信じてる。

「それにあんた、俺に対しては特に意地が悪い。俺になんか恨みでもあるの?」
そんなもの、覚えがありすぎてどれだか分からないけれど。

青年の、軽口に見せた純粋な問いに、男は一つ瞬くと、やや置いて口を開く。
その間は、逡巡か、それとも言葉を選ぶ間であったのか。

「君はその方が良いのだろう?」

君はそうして対された方が、安心するのだろう?

どこか控えめに空気を揺らした言葉は、青年に向けてそう問いかけていた。
まるで童話のチェシャ猫のような笑みを貼り付けていた青年は、その表情をするりと無に帰した。


優しい言葉なんて、舐められてるか下に見られてるようにしか、感じない。
だって、最初から誰も信じてない。
一人きりで生きている。タダでモノをくれるのは、持ってるヤツと下心のあるヤツだけ。
後者は論外、前者はソレをこの世とあの世の誰かから奪って生きてる。

だから、タダで愛(モノ)を振り撒くヤツは、俺はけして信用しない。
だっていつか、奪われる。


なら、この場合は。

「あんたが慈悲深いとか言われる理由。よーく分かったよ」

この場合は、どうなるだろう。

「でも、分かるのと思うのは違うからね。あんたはけして慈悲深いヒトじゃない」


嫌いな理由は、知っている。
話すほどに嫌ほど理解するこの男の内面が、自分ととても、似ているからだ。

似ているのに、似ていない。

似ているのに、絶望してない。
似ているのに、愛してる。
似ているのに、希望を捨てない。
似ているのに、諦めない。
似ているのに、似ているのに、似ているのに、似ていない。

嫌いだ、嫌いだ、嫌いだ、嫌いだ、嫌いだ、嫌いだ、嫌いだ、大っ嫌いだ。

暗い、暗い、暗い、暗い、暗い暗い闇の底に居て、自分は違うと、言ってるようだ。

似ていないのに、絶望してて。
似ていないのに、愛さない。
似ていないのに、希望を捨てて。
似ていないのに、諦めた。
似ていないのに、似ていないのに、似ていないのに、きっと似ている。

もどかしい、もどかしい、もどかしい、もどかしい。

お前は、なんだ。一体どうして、生きている。

持っているのに、捨てていて、持ってないのに、持っているよう。

だから、嫌いだ。
羨ましいと、思えるほどに、簡単では、ないから。

拍手[0回]

PR

Trackbacks

TRACKBACK URL :

Comments

Comment Form