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語部な日常制作中イラストや日記用イラスト、雑記雑感などを中心に展開中。まれに版権話や小説が出ることも。PAGE | 907 906 905 904 903 902 901 900 899 898 897 | ADMIN | WRITE 2011.02.07 Mon 18:03:56 ■■彼が彼を嫌いな理由せんり宅鳥さんが、うちの歪を嫌いな理由。続きより閲覧どうぞ。中途半端に始まって中途半端に終わります;
歪が嫌いな鳥さんは、歪の前では大人しい。鳥さんが嫌いじゃない歪は、鳥さんの前では皮肉屋で毒舌家。 「所で」
「……何?」 応えるまでに間があったのは、青年が一瞬応えを怠ろうかと画策したからか。 それでも応えたのは、目の前の男が次に発する言葉に興味があったからか。 「君はなぜ、俺を避けるんだろうか?」 「……嫌いだから」 青年は至極嫌そうに答えた。 短い応えに、男は一瞬キョトンと目を瞬かせ、次いで破顔する。 「一般化された理論と少々の皮肉を愛する君にしては、簡潔かつ、抽象的で正確に体系だてられていない答えだな」 微笑で返された言葉の毒に、青年は知らず目を眇めた。 「……あんたの方がずっと皮肉で意地が悪いと俺は思うけどね」 俺以外のヤツの目は全部節穴だ、と、青年は吐き捨てる。 だって、こんなヤツのことを、慈悲深いと……本気で信じてる。 「それにあんた、俺に対しては特に意地が悪い。俺になんか恨みでもあるの?」 そんなもの、覚えがありすぎてどれだか分からないけれど。 青年の、軽口に見せた純粋な問いに、男は一つ瞬くと、やや置いて口を開く。 その間は、逡巡か、それとも言葉を選ぶ間であったのか。 「君はその方が良いのだろう?」 君はそうして対された方が、安心するのだろう? どこか控えめに空気を揺らした言葉は、青年に向けてそう問いかけていた。 まるで童話のチェシャ猫のような笑みを貼り付けていた青年は、その表情をするりと無に帰した。 優しい言葉なんて、舐められてるか下に見られてるようにしか、感じない。 だって、最初から誰も信じてない。 一人きりで生きている。タダでモノをくれるのは、持ってるヤツと下心のあるヤツだけ。 後者は論外、前者はソレをこの世とあの世の誰かから奪って生きてる。 だから、タダで愛(モノ)を振り撒くヤツは、俺はけして信用しない。 だっていつか、奪われる。 なら、この場合は。 「あんたが慈悲深いとか言われる理由。よーく分かったよ」 この場合は、どうなるだろう。 「でも、分かるのと思うのは違うからね。あんたはけして慈悲深いヒトじゃない」 嫌いな理由は、知っている。 話すほどに嫌ほど理解するこの男の内面が、自分ととても、似ているからだ。 似ているのに、似ていない。 似ているのに、絶望してない。 似ているのに、愛してる。 似ているのに、希望を捨てない。 似ているのに、諦めない。 似ているのに、似ているのに、似ているのに、似ていない。 嫌いだ、嫌いだ、嫌いだ、嫌いだ、嫌いだ、嫌いだ、嫌いだ、大っ嫌いだ。 暗い、暗い、暗い、暗い、暗い暗い闇の底に居て、自分は違うと、言ってるようだ。 似ていないのに、絶望してて。 似ていないのに、愛さない。 似ていないのに、希望を捨てて。 似ていないのに、諦めた。 似ていないのに、似ていないのに、似ていないのに、きっと似ている。 もどかしい、もどかしい、もどかしい、もどかしい。 お前は、なんだ。一体どうして、生きている。 持っているのに、捨てていて、持ってないのに、持っているよう。 だから、嫌いだ。 羨ましいと、思えるほどに、簡単では、ないから。 PR TrackbacksTRACKBACK URL : CommentsComment Form |