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語部な日常制作中イラストや日記用イラスト、雑記雑感などを中心に展開中。まれに版権話や小説が出ることも。PAGE | 825 824 823 822 777 753 706 820 819 818 817 | ADMIN | WRITE 2010.08.20 Fri 22:35:15 ■■ 雨発見品2号。…………こんなんいつ書いたんだ私……。
珍しく文章。
琉綺宅に触発されて、小説形態でキャラの心情独白を書いてみようかなぁと。 ぽつり、ぽつり。 ぽつ、ぽつ、ぽつ、ぽつ、ぽつぽつぽつ。 ぽつぽつぽつ、ぽたり。 ぽたり、ぽたり、ぽたぽたぽたぽたぽたぽたぽた。 ――雨が降ってきた。 その、静かな、けれど不思議と響く音につられ窓の外を見た狂は、静かに筆を下ろした。 空いた手で、眉間をそっと押さえる。 状況から鑑みて、今手を休めるのは得策とは言い難いが、今日はもう駄目だろう。 ――雨の日は、仕事にならない。 そう思考し、直後、自嘲げに笑う。窓辺に寄り、空を見上げた。 天候に左右される漁師ではないのだ。雨が降ろうと仕事ができない訳ではない。 ただ……雨が降ると、思考が鈍る。 今もそうだ。考えなくてはならないのは、遅れた予定の再構成。 しかし、それをしながらも、頭はぼんやりと意味のない思考を続ける。 ぽつ、ぽつ、ぽつ、ぽつ、ぽつ、ぽつぽつ。 一定のリズムで、けれど時折変化を織り交ぜながら、雨が音を奏でる。 窓枠に腰かけ、それに耳をすませた狂は、もう一度笑った。けれどそれは、どこか不自然な、もの。 そう、それは、常に笑顔を絶やすことがない彼からは、想像しにくい表情。 けれどそれも、確実に彼の姿の一つだった。 ただ、それを知るものが少ないと言うだけのこと。 そして、彼自身も、そんな自身を忘れていることがある。 思い出すのは必ず、雨の降る日。 狂は雨が嫌いだった。 理由は至極単純。雨の降る日に悪い思い出が多いから、と、それだけだった。 ぽたぽたぽたぽたぽたぽた。 とめどなく流れる音は、まるで呪詛のようだ。忘れるな、と、思考を苛む。 呪われたのは、自分。けれど、呪いの主も……自分自身。 忘れるな、そう苛むのは、自分自身。 そして同時に、何故救えなかった、と、悔恨し、罵り、嘆く。 「本当に、馬鹿な男ですね」 彼の友人の言葉を思い出す。彼に対してそう言うのもおかしいが、息災にしているだろうか。 「本当に、な」 実際語部にも、狂は雨が好きなのだ、と認識しているものが少なからずいた。 雨の日には、彼は必ず窓際に寄り、ただ静かに雨を眺める。 だからこそ、彼は雨が好きなのだ、と。 「ただ、眺めるだけだ。動くことも……止まることもままならねぇ。オレは本当に、大馬鹿ものさ」 自嘲気味に呟かれた言葉は、誰の元に届くこともなくただ……ほどけて消えた。 END. 2010 10 15(2010 08 20手直し) PR TrackbacksTRACKBACK URL : CommentsComment Form |