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■■お茶にしましょう -side.k

こちらにて、コラボ用のページを作って頂いていると知りまして。
そこに掲載中の作品の、狂サイドを超短文で書いてみました。
続き……書きたかったんですけども、ちょっと文章からユフィさんの心境が読みとれず……。
今度、彼が笑っていた理由とか心境を細かくお聞きしたいです。


「……くーさん。息子の気持ちってわかんないものだな?」
穏やかな日の照る昼下がり。
城を訪ねた二人の客人に、橙色の王は、笑みを浮かべてそう言った。


「あぁ? いきなりどうした」
狂(クルイ)は、王の唐突な言葉に、眉間のしわを若干だけ深くして聞き返す。
「なんでもない」
相も変わらず笑みを浮かべて言う王に、狂とサチコは思わず顔を見合わせる。
一瞬の間をおき、サチコが灼熱の髪を揺らして呆れの色を形作った。

「……いよいよ気でも違ったか、可哀相なユ……ミッフィー」
「おま、そこは言い換える所じゃないだろ!!」

「お約束すぎてむしろ笑えるってぇの。漫才かい」
自分で勝手に用意し淹れたお茶を飲みながら、狂が至極のんびりとツッコミをいれた。
器具と茶葉は、給仕係が支度してくれた配膳のワゴンから拝借している。
彼らが来た際には、給仕の係はワゴンだけを置いて退室するのが定石になっていた。

あくまでのんびりと、淹れた茶を一杯飲み干した所で、目の前にいる友人二人のためのカップを取り出す。
勿論紅茶を、彼の一度使ったカップと、友人たちの今だ使用されていないカップに注ぐためだ。
しかし、その作業は灼熱の髪を持つ友人の声でとめられる。
「ああ、俺はいらねぇぜえ?」

用意をしていた狂も、書類を纏めていた王も、しかしサチコの言葉に驚く様子はない。
「ああ……そうかい。気をつけて行ってくるんだぜ?」
「あれのことに関しては……お前の方が分かってそうだしな」

淹れた紅茶を王に手渡しながら、そして王はそれを受け取りながら、のんびりと答える。

「ああ、じゃあな。また今度、といっておくぜえ」
目は合わせない。お互いに振り向くこともない。
縁があったらまた出会うだろう。そしてそれは、きっと遠い先のことではない。

灼熱色の異邦人は、扉の音を最後に視界から消えた。

二人きりでいるにはあまりに広い部屋に、一瞬の沈黙が戻ってくる。

「で、あんたはどうしたんだい?」
ティーカップを手にしたまま、狂は王の正面の椅子に、至極ゆっくりと腰かけた。


END. 2010 08 24

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